ビーバー相撲教習所
ビーバー相撲の歴史
ビーバーたちは、親しい仲間との絆を、力比べによって確かめ合ってきた。
争いではなく、押し合いながら力をつけ、気持ちを通わせる――温かなやり取りのひとつである。
その様子を見ていた人間たちが「相撲」と名付け、やがてその呼び名はビーバーたちの間にも広まっていった。
教えられたわけではない――ただ、見た形をなぞっただけだった。
その名が定着するにつれ、やがて川の中に土俵が築かれた。
丸太や木板で組み、流れに揺らがぬよう、しっかりと固定されている。
川岸には観客席や控え所が設けられ、群れをあげての催しとなった。
ビーバーたちは人間の国技館にちなみ、この土俵を「国枝館」と名付けた。
もともとの成り立ちからして、人の相撲よりも穏やかな競技である。
しかし、つぶらな瞳には紛れもない真剣さが宿る。
静かに燃える小さな炎が、彼らを前へと突き動かす。
汗と涙で毛並みは乱れ、しょぼしょぼと濡れる。
それでも取組を終えた彼らは、確かに一歩、前へ進む。
――これこそが、ビーバー相撲である。
ビーバー相撲のルール
ビーバー相撲は、勝敗の判定基準や基本動作の一部に、人間の相撲競技を参考にしたと思われる点がある。
しかし同時に、ビーバーならではの習性や環境に適応した独自の発展も見られる。
人間の相撲とは異なる部分もあるが、「ビーバー流」として、温かく受け止めてほしい。
勝敗
ビーバー相撲の勝敗は、人間の相撲と同様に決まる。
次のいずれかに該当した場合、取組は決着となる。
- 相手の体を土俵の外に出したとき
- 足の裏と尻尾以外の部分が土俵に着いたとき
- 禁じ手を使ったとき
なお、ビーバーは後ろ足で立つとき、尻尾を地面につけて体を支える。そのため、尻尾が土俵に着くことは反則とはならない。
出場条件
原則として、出場できるのは体が十分に成長するとされるおよそ2歳以上のビーバーとする。
あわせて、安全に取組を行うため、一定以上の体重および体長を満たしていることを出場条件とする。
ビーバーは外見から性別を見分けるのが難しく、また性別の差による力の違いも比較的小さい。
このため、ビーバー相撲では
性別を問わず、すべてのビーバーが同じ土俵で対戦する形式が採用されている。
土俵
本場所は、ビーバー相撲の聖地 「国枝館」で行われる。
- 土俵は川の中に設置されており、丸太や木板で組まれ、流れに揺らがぬよう頑丈に固定されている。
- 土俵のすぐ外側には、1〜2メートル程度の水域が広がる。
- 本場所中はダムで水量が調整され、適切な流れが保たれる。
- 川岸には観客席や控え所が用意され、ファンたちが熱戦を見守る。
番付
ビーバー相撲では、人間の相撲を参考にした番付制度を採用している。
上下関係は人間ほど厳しくないが、番付ごとに決まりがある。
十両以上になると、希望する力士は、髷(まげ)の
「大銀杏」のかわりに、本物の銀杏の葉を頭に飾ることができる。
最近では、銀杏の葉だけでなく、季節の花を一輪そっと飾るビーバーも現れた。
観客たちは、花の色や香り、そして種類から、季節の訪れを感じるのを楽しみにしている。
美しく、そして美味しそうな花飾りは、多くのビーバー力士たちの憧れとなっている。
廻し
雰囲気づくりと取組の多様性を生み出すため、人間の相撲文化を参考にした「廻し」に似たものを着けている。
見た目は人間の相撲で使う廻しに近いが、
ビーバーの体形に合わせて尻尾を出せるような形になっている。
※ビーバーたちは普段は全裸で暮らしているが、取組中に廻しがずれて裸になってしまうと負けとなる(通称「もろ出し」)。
禁じ手
- 噛みつき、引っかきなどの危険行為
- 廻しを着けない、または故意に外す行為
- ビーバー力士としての品格を下げるような行為
土俵に立つすべてのビーバーたちは、今日も黙々と、自らの技を磨き続けている。